長年放置しておきながら、思い出したようにクリーニングして使おうとした、モンブランの万年筆(クラシック#310)ですが、自前のクリーニングや修理業者さんとの相談を経て、ついに修理していただくこととして、先日修理完了品を受け取りました。
状態としては、ほぼ使用に問題がない程度に回復しました。
しかしながら、治ったことによって、日常使いにはやっぱりちょっと使いにくい(というかワタシの用途には不向きな)面がより鮮明になり、使いたくなったら使う、というような扱いにすることにしました。
修理に出すまでの経緯
長年放置しておきながら、思い出したようにクリーニングして使おうとしてみましたが、あまり状態が良くないので修理ができないか、再度検討しました。
万年筆宅配修理マエストリートさんを見つけ、写真などを送付させていただきメールで相談させていただきましたが、部品交換修理が必要の可能性が高いが、製造元本国でも部品が枯渇しており部品調達が現状不可能になっているので修理不可、との回答をいただきました。
と、ここまでは以下の記事に記載しています。
修理できる見込みがなくなったので、充填したインクがなくなったら、再度クリーニングして保管しようかな、と思っていたところに、コメント欄で、なお様より川窪万年筆店というところを教えていただきました。
正直なところ、最初は興味本位でしかなかったのですが、webページを見てるうちに修理していただけるかも、と思うようになりました。
いろいろ考えたのち、コンタクトフォームに写真を添付して問い合わせてみました。
2日程度で以下のように返事をいただきました。
■■様、この度は修理のお引き合い頂きまして有難うございます。
#310ですが如何様な状況、調整でも問題ございませんので宜しくお願いします。
※当店工房にてお受け致します。
(〒112-0011 東京都文京区千石2-31-7 tel 03-3941-0561)
※封書を避けて箱状宅配便あるいはレターパック(本体はダンボール等で補強の事)でお送り下さい。
※簡単で構いませんので故障状況、返送先ご住所、お電話番号のメモを添付下さい。
※完了後お届け&お支払い(オンライン決済、銀行振込)の流れになります。
webページでだいたいの価格はわかりますが、部品交換が必要になってしまうと、どの程度の価格になるのか見当がつかないのでちょっと不安ではありましたが、修理に出してみることにしました。
修理を依頼
川窪万年筆店さんの店舗は東京なので、関西在住のワタシの場合、修理は宅配でのやり取りになります。
修理するペンは梱包してレターパックライトで送りました。
おおよそですが、手元から発送して戻ってくるまでを修理期間だとすると、だいたい2週間でした。
2024/5/12 発送
2024/5/16 修理の見積もりの連絡メール受け
2024/5/30 宅急便コンパクトで修理完了品の受取り(予告なし)
2024/5/31 代金振込み (振込自体は30日に実施しましたが、翌日扱いになりました(後述))
発送
指示通り、厳重に梱包して状態のメモ書きを同封して投かんしました。
2024/5/12にレターパックライトでポストに投函しました。
投かんしたポストには、その日の午後に集荷される表示があったので、その日のうちに発送ということになります。
見積もりの連絡
2024/5/16に修理の見積もりの連絡がメールでありました。
修理代金:¥5500(税込)+送料¥ 775 計¥6275
問題なければこれで修理に取り掛かるとのことでした。
即返信で、見積もりに問題はありませんので修理お願いします、と回答しました。
1万円超えたらどうしようかな、とか考えていたところにこの価格見積もりでしたので、OKで即答しました。
実はインクフローの改善修理のほかに、ペン先を国内の万年筆のEF(極細)相当になるように調整もお願いしてましたので、価格設定としては良心的な方だと思いました。
余談ですが、海外の万年筆、といってもワタシはこのモンブランの310とラミーのサファリ系のニブの万年筆しか使ったことがありませんが、EFといってもかなり太目の文字になるのが気になってました。
修理の依頼時に同封したメモはカクノでサンプル文字を記載して、このぐらいの細さに調整していただけると助かります、とお願いしていました。
修理期間に関しては、Webにも記載がありましたが、郵送受付の場合は2週間~数か月要する場合があるとのこと。
予約して持ち込みだと症状によっては当日中にお渡し、とあるのでこのあたりはどう見るかですね。
(持ち込みを優先しているので郵送は後回しということでしょうか。。)
急を要する修理受けられないとWebにも書かれていますし、今回はそれをわかったうえで依頼に出すので気長に待つしかありません。
受け取り
2024/5/30に宅急便コンパクトで修理完了品を受取りました。
修理完了とか発送とかの連絡が別途あったわけではなくいきなり届いたのでちょっとびっくりしました。
でも確認するとだいたい2週間経過していましたので、おおよそ予定通りということになるのでしょう。
2024/5/31に代金が振込まれました。 振込自体は受け取ったその日(30日)に実施しましたが、午前中だったにもかかわらず翌日扱いになりました(paypay銀行)*注。
注: paypay銀行同士なのに、”登録済の振込先、直近の振込先以外を指定した場合、振込指定日は「振込最短日」以外を選択してください。”と表示されるので、新規の振込先になると実質即日振込は不可です。。。まあ文句はありますが仕方ありません。早く振込処理してほしい時には次回からはpaypay銀行は振込には使わないようにします。
修理完了品の確認
かなり期待しながら開封して試し書き、してみましたが、書き始めこそ「お、細字」と思ったのですが、いろいろ書いているうちに、
「あれれ、やっぱり太い?」
と感じるようになりました。早々に慣れてしまったのでしょうか。
いや、やっぱりインクフローが良くなったせいでサッサと書かないとインクがにじんできて太くなるといったよくあるパターンの感じです。
これではペン先を調整した意味があまりないような気がするのですがこんなものなのでしょうか。
あと、筆記始め時に若干の引っ掛かりのようなものを感じるのがちょっと気になりました。
出来上がり品の試し書き後の感想としては、総じて、
ちょっと気になるけど、まあ、こんなものなのかな、、、
というものでした。
インクフローに関しては正常になったように思えます。
しかしながら、ペン先調整に関しては厳しい評価をすれば、ちょっと期待外れでした。
気になったのでどうなっているのかペン先をマクロで撮影してみました。
撮影して、見てはいけないものを見たようでちょっと後悔しましたけど。
研磨時にペンポイントが脱落したようにも見える感じで、ちょっとえぐれているように見える箇所があります。(左右とも)
研磨時に脱落したのか、修理依頼前から脱落していたのか、修理前の状態をここまで課題してみなかったので、今となってはわかりませんが。
写真をみて、こんなものなの?、と、ちょっと疑問に思い、モヤモヤ感のまま過ごすのも嫌でしたので、ペン先と筆跡写真を送付して川窪万年筆さんに聞いてみました。
先日郵送依頼にてモンブラン310の修理調整を依頼させていただきました■■と申します。
本日5/30に修理完了品を受け取り、明日paypay銀行へ振り込みの予約を済ませております。
修理調整いただきましてありがとうございます。修理品につきまして、試し書きしてみたところ、気のせいか、字が太いような気がしましたので、ペン先をiphoneで拡大して撮影して確認したところ、ペンポイントが脱落(欠け?)ているように見受けられます。
2024/5/30 22時送信
写真を添付いたしますが、修理前からこのような状態だったのでしょうか?
(当方の勝手な憶測で失礼ですが、研磨時に脱落したようにも見えます。)
いずれにしましても筆記の際に多少の引っ掛かりのような感じもあり、文字もまだちょっと太く感じますので再調整可能であればお願いしたいのですが可能でしょうか.?
翌日の朝に以下の返信メールをいただきました。
■■様、この度は有難うございました。ペンポイントは欠落ではなく、ご要望に応じて両サイドを削り細く調整させて頂きました(本来はペン先ごと削るのが理想ですが鉄ペン&エントリーモデルのためペンポイント溶接部の強度が信頼できませんので、このような研磨形状となってます。)筆跡から臆するに、かなり寝かされて書かれている様子です。モンブラン・クラッシックで推奨されている筆記角度は45〜75度くらいですので、現状より少し立てて書かれて下さい。元の太さの半分の線幅となります。よろしくお願いします。
2024/5/31 9時受信
との返信をいただきました。
まあ、いろいろ思いはありましたが、他の手持ちの万年筆のペン先を見てみても結局どういう状態が正解かは素人のワタシには判断できませんでしたし、筆記時のペン先が寝ているのは確かにワタシの筆記の癖でもあるので、まあ注意すればいいのかもしれません。
こういう書き味に係る調整については、メールでのやり取りでは限度がありますし、修理前後で状態は明らかに回復しているのでこれでしばらく様子を見ることにして、その旨メールを出して今回の修理な関しては完了と相成りました。
川窪万年筆店 川窪克実 様
ご連絡いただきましてありがとうございました。
わかりました。現状で様子を見てみることにします。
この度は修理をしていただきましてありがとうございました。
まとめ
懸案だったモンブラン万年筆のクラッシック#310の状態は、一応通常使用がほぼ可能な状態に戻りました。
しかしながら、治ったことによって、寧ろ書き味や時の太さ、インクフローの大きさなどが余計に気になって、日常使いにはやっぱりちょっと使いにくい(というかワタシの用途には不向きな)な、と思うようになりました。
人間ってわがままですね。
こんな感じなので、いろいろ落書きして充填しているインクを消費して再度クリーニングして保管し、使いたくなったら使う、というような扱いにすることにしました。ぜいたくですけど。
ともあれ、治って本当によかったです。大事にしたいと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
Montblanc No.310のペン先を修理に出された記事拝見しました。
線を細くするならペンポイントの両サイドを少し削る程度で良いはずで、ペンポイントの側面をえぐるような研磨は見たことがありません(今回初めて見ました)。
No.310はNo.320のペン先と互換性がありますので、中古のNo.320(EF)を入手してペン先を交換すれば細字のEFになります。首軸も同じなので、首軸ごと交換しても良いです。No.320は金ペン先なので書き味も変わります。ご参考まで。
コメントいただきましてありがとうございます。
ペン先調整は難しいものですね。こういう修理は郵送でのやり取りよりも面着のほうが良かったなと痛感しました。
機会があれば中古の入手を試みたいと思います。
いろいろ情報をいただきありがとうございます。