学生の頃に姉さまから(たぶんお土産だったような。。。)いただいた万年筆を何とか使えるようにしました。
使えるようにした、ということは今まで使えなかったわけですが、その放置していた期間は数十年になります。
外見はそれほどひどくないのですが、インクが出ないので中で固着しているのでしょう。
何度か水で洗浄したことがありますが、使える状態にはならなかったので、今まで放置していました。
たまたまクリーナーがあることを知り、使ってみようと思ったのがきっかけです。
(2024/1/27追記)
スグには回復しないのはわかってましたが、回復見込みがあるのかを知りたくなり、修理していただけそうな業者を探しました。
万年筆宅配修理マエストリートというところを運よく見つけ、問い合わせしてみました。
結果的には、部品交換が必要な状態ですが、製造元(モンブラン)で既に部品がなくなってしまっているので修理不可との回答をいただきました。
大変残念なのですが、不明だった型番は分かったので、相談してみてよかったと思ってます。
ロットリングのクリーナー
ロットリングといえばワタシと同世代か年配で理系の方であれば、学生時代にラピッドグラフというペンでグラフを書いた経験がたぶんおありになるかと思います。
パソコンがそれほど普及していなかったのでグラフを手書きする、という、現代では正気の沙汰ではないことを、このロットリングのペンでやっていたことを思い出します。
その、ロットリングが製造販売しているクリーナーが万年筆の洗浄にも使えて効果があるらしいことを知り早速購入しました。
まずはお湯でプレ洗浄
説明書に書いていたわけではありませんが、クリーナーを使う前にお湯で洗浄してみることにしました。
本当にインクが固着しているのかを確認する意味もあります。
ちょっと高めの温度(80℃ぐらい)のお湯につけてみることにしました。
1時間ぐらいつけると結構インクが流れ出し、インクが中で固着しているらしいことは確認できました。
クリーナーで洗浄
クリーナーで洗浄、といってもお湯に代わってクリーナーにつけるだけです。
お湯を使ったプレ洗浄でも結構なインクが溶けて流れ出たのですが、クリーナーを使うとすぐにまたインクが流れ出てきました。
相当たまっているようです(^^;;)。
2日間ぐらいクリーナーにつけたまま放置しました。
インクの流出がなくなってそうなのを確認して水洗いして乾燥させました。
6時間も2日もあまり見た目は変わらないような感じですが、別容器に移してみたところ、結構な着色がありました。
洗浄効果があったことがわかりました。
試し書き
まだ十分洗浄できていない可能性もありますが、なんとなく試したくなって、インクを充填してみることにしました。
カートリッジはありませんが、コンバータは持っていたので少量インクを充填してみることにしました。
インクはいつものペリカン4001のターコイズにしました。
RHODIAに試し書きしましたが、結論からいうと、完全には回復しませんでした。
書き始めにイングが出ず、しばらくペンを走らせると(ペン先がょっと開くので)インクが出始める、という感じです。
一旦、インクが出ると、今度はフローが多すぎて字がにじむ、という感じでどうも万年筆苦手意識の元凶のようなふるまいでちょっと残念感が漂ってます。
また、ニブのせいか、字が太すぎるので、手帳のような細かい文字での記入には向かないかもしれません。
修理業者に相談
インクは一応出るようになりましたが、状態としてはあまりよくないので、このまま使って大丈夫なのかちょっと疑問に思えてきたので、専門の修理業者に相談してみたくなり探してみました。
神戸にはナガサワ文具といった老舗の文具店があるので、そこの店舗に持って行ってもよかったのですが、出不精なので(笑)ネットでやり取りできる店舗がないかを当たってみました。(といってもgoogleで検索するだけですけど)。
宅配の専門業者、万年筆宅配修理マエストリートというお店を見つけました。
頼まれている方のブログもけっこう見つかったので、さっそくメールで問い合わせしました。
かなり古いモンブランのカートリッジ、コンバータ併用式の万年筆のペン先調整をお願いしたいと思っています。
一時はインクが固着して使用をあきらめて(30年ぐらい。。)放置してたのですが、ロットリングのクリーナが効果ありとの情報をもとに先日クリーナーで洗浄し、インクは出るようになりました。
しかしながら、書き始めはインクが出ず、しばらくペンを動かすとインクが出るのですが、一端で始めると出すぎて字がにじむような状態です。
ペン先調整で治るようなものでしょうか? 治りそうであればお願いしたいと思っています。
土日を挟んでしまったのでちょっと日数が開いてしまいましたが、以下のような返事がきました。
この度は当店マエストリートに修理、調整のご相談をいただき誠にありがとうございます。返信が遅くなり大変申し訳ございません。
モンブラン万年筆のご相談ありがとうございます。インク出不具合のご相談ありがとうございます。詳しい状態のご説明をいただき恐縮です。
一部旧製品は部材が洗浄液で破損しやすくなります。それが懸念事項としてございます。インク出不良の原因は少なくとも1つではなくてインクを通す役割のペン芯とペン先側の双方に問題がある可能性が高いと思います。お写真拝見できるとの事大変助かります。お言葉に甘えまして大変お手数ですが万年筆全体的なお写真とペン先付近のお写真(首軸部分が写りました写真ですと助かります)をメールに添付していただけますでしょうか?
ご面倒おかけしてすみません、何卒よろしくお願い申し上げます。
ということで、写真を撮って送りました。送ったのは全部で6枚です。
送付した写真から、数時間後に以下のような趣旨の回答をいただきました。
- 写真からはモンブランのクラッシックNo310万年筆と思われます
- インク出不具合の原因はペン先の切割り開きとペン先・ペン芯の隙間のように見えます。構造的にインク詰まりも取り切れていない可能性があります。
- 部品交換が必要な状態ですが、残念ながら80年代前半〜中盤の万年筆ですので部品がご用意できず修理ができません。
- ペン先・ペン芯、場合によっては首軸とコネクターの交換が必要です。残念ながら部品がなく、モンブランでも2005年頃にドイツ工場で部品が尽きております。
- ペン先を横から撮影した写真を拝見しますとペン先表面のインクが常に付着していない箇所が腐食してえぐれています。(ペン先はスチールに金メッキです)
- 表面に見えていない首軸の中はインクが常にある為にもっと全面的に剥がれている事が予想されます。もしかするとインククリーナーでインクは流れ出ているかもしれませんがメッキとスチールの剥がれた部質が中に詰まっている可能性があります。
- 修理する場合はまずは首軸のコネクターを外してから後方にペン先とペン芯を抜き取ります。この行為で首軸にヒビが入る事が多いです。
次にペン先はペン芯に対して両サイドを爪を折り曲げてホールドしています。これを少し押上げて起こしてから引き抜きます。この時点でペン芯の爪が折れる可能性が高いです。
という残念な結果となりました。
LAMYのサファリやcp1のように簡単にペン先交換ができない構造のようですね。
もともとメンテナンスしにくいタイプの万年筆だったということもあるのかなと思いました。
でも、詳細な状態を知ることができたのと、何より不明だった型番を知ることができたので、相談できてよかったと思っています。
まとめ
やはり数十年間悪い状態で放置していたこともあって、1回ぐらいの洗浄では治りませんでした。
しかしながら、お湯洗浄やクリーナーを使った洗浄でインクフローはとりあえず回復したので、洗浄を繰り返してみようと思います。
何でもかんでも分解する前にまずは可能な洗浄方法で洗浄してみるとよいことがわかりました。
念のため修理業者にも相談してみましたが、部品交換無くしては完全には治癒しない状態のようです。しかも部品はもう手に入らないので、このままの状態を維持してゆくことになるのかなと思います。
コメント
コメント一覧 (3件)
自分も、内部でインクが固着した(40~5年前の)万年筆を頂いた後、洗浄を試みたのですが、無理でした。
他の万年筆はぬるま湯に漬け置きか、ひどい場合でもプラチナ万年筆の洗浄キットで再生したのですが。
東京の文京区にある川窪万年筆でペン芯内部に固着したインクの除去が無理だと判明し、ペン芯交換後、完全復帰しました。
自分も、内部でインクが固着した(40~50年前の)万年筆を頂いた後、洗浄を試みたのですが、無理でした。
他の万年筆はぬるま湯に漬け置きか、ひどい場合でもプラチナ万年筆の洗浄キットで再生したのですが。
東京の文京区にある川窪万年筆でペン芯内部に固着したインクの除去が無理だと判明し、ペン芯交換後、完全復帰しました。
なおさま、
貴重な情報をありがとうございます。
早速、川窪万年筆さんのwebサイトに行ってみました。
交換パーツが無くても自作パーツで修理していただけるのですね。
かなり混雑しているようようすですが、検討してみたいと思います。
ありがとうございます。