それでもハッセルブラッド503CXを売りました。

先日、手持ちで唯一だった(銀塩)フィルムカメラのハッセルブラッド(503CX、A12マガジンそしてCF80mm F2.8レンズ)を売却しました。

ある意味憧れだけが理由で購入したシステムで、シャッターを切った時の「シュポッ」という音が好きで、意味もなく空シャッターを切ったりしていました。

そんなカメラだったんですけど売却しました。

金に目がくらんで売ったんですね、と言われても否定はしません。

実際に、たまたま見かけた買取り価格が考えてもいなかったほど高値でしたので「売るなら今かな、売ろう」と最終決断しましたから。

目次

はじめに

これまで、壊れても捨てられないモノLAMY2000とか、使ってないけど捨てられないものWALKMAN Professionalなど、いつまでもモノに執着したようにずっと所有しているようなことを記事にしてきました。

しかし、ハッセルブラッドを売った時に、ふと自分で気づきましたが、カメラに関してはなぜかあまり愛着というか執着のようなものが少なく、数年たったらサクッと一式システム買い替え、なんてことをこれまでも結構して来ています。

単なる新しいガジェット好きな人、ということになるのでしょうけど。

カメラってしょっちゅう持ち歩いたり、自宅でも時間のある時に触ったりして、共に過ごす時間が多い割には、LAMY2000とかの様な思い入れが、案外希薄なことに気づきました。

なぜですかねぇ。

カメラそのものよりも写真を撮る行為と撮った写真には思い入れはあるのかもしれませんが、カメラそのものにはあまり思い入れがないのかもしれません。

それでもハッセルブラッドを購入

購入した時期は結構遅く(というか最近?)、2008年4月頃に購入しました。

きっかけはそれこそ、売った時と逆で「安かったから」です。当然中古ですけど。

銀塩カメラ主流の時代には、中古であってもおいそれと買える値段ではなかったのですが、当時(2008年)はデジタル一眼が各社から発売されており、APSサイズとはいえ画素数もそれなりにあったので、銀塩カメラが徐々に衰退し始めたころです。

特に版面の大きさで高画質を売りにしていたブローニー版(いわゆる中版カメラ)は、デジタル化の煽りをモロに受けて新品はほとんど売れてなかったと思います。

当然中古も値下がりしてました。

今思えばその頃が底値だったのかもしれないです。

そんなタイミングでしたので、中古や新品の流通が無くなってしまう前に一度ぐらいはハッセルを使いたいなあ、という良い口実となって購入に至った、というわけです。

購入したのは、Vシステムと呼ばれるもの(アポロに積まれて月へ行ったことで有名)のなかで、500C、500C/Mに続いて出た503CXと呼ばれるもので、正確には本体が503CX、A12マガジンそしてCF80mm F2.8レンズでした。

中古でしたので程度はそれなりでしたが、問題なく使用できるものでした。約10万円でした。(それでも全然安い部類でした)。

ある意味憧れのハッセルブラッドでした

使っていくうちに気持ちが別の方向へ

6×6フォーマットに翻弄される

ハッセルブラッドのVシリーズはブローニー(幅6cm)を使用したスクエア(6cm×6cm正方形、映像部分は正確には5.6cm×5.6cm)フォーマットです。

カメラの縦横の向きを、被写体や構図によって変えずに済むので、合理的なフォーマットといえます。

しかし実際には、人物を撮れば左右の空間が気になるし、風景を撮れば左右の広がりが狭く感じ、構図を整えるのに意外と苦労しました。

ルーペとライトボックスで鑑賞するのも銀塩ポジフィルムならでは。6×6フォーマットに苦労しました。

古典的な操作感

露出計などは当然なく、当時は別のカメラ(露出計を使うために)と併用してました。

標準のファインダーはウエストレベルで、像が逆に見えますので、構図調整が慣れるまで面倒です。

フィルムの装填は数回の練習が必要なほどコツが必要で、バンバン撮影してフィルム交換、という使い方にはまるで向きませんでした。

基本的に手持ち撮影は不可に近く、やればできなくはないですが、やってもしんどいだけだと思います。

上部の蓋を開けるとウエストレベルファインダー
被写体の像は逆に見える

ツァイスはとっても良いんですけど。。。

個人的には、本格的にツァイスレンズを使ったのはハッセルが初めてでした。
噂や作例に違わず、やっぱり出てくる写真は(具体的には表現できませんが、)何か良い感じがします。

ただ、今でも同じ感想を持っていますが、やはりポートレートや人工物を含んだ風景が得意なような気がします。

ツァイスにはこういった風景はあまりマッチしないような気がしました。

こんな感じで、購入して使用していた当時、ワタシは古城跡(竹田城跡)の風景写真に没頭しており、下手な撮影技術のせいもあってハッセルブラッドを有効活用できませんでした。

でも、ブローニー版の画質にはちょっと感動していたので、風景にはもっと機動性のあるペンタックスの645Nを追加購入したりしてました(当時は値崩れしていたハッセルのさらに半値以下で本体やレンズが買えた)。。。

フィルム(銀塩)写真や~めた

ハッセルブラッドを購入することによって、ツァイスレンズの良さやブローニー版の画質の良さを体験することはできました。

しかし、そうこうしているうちに時代としてはデジタルがほぼ主流になっており、ちょっとしたきっかけでフィルム(銀塩)写真を撮らなくなってしまいました。

きっかけは時間とランニングコスト

35mm版にしてもブローニーにしても撮影済みフィルムを現像する必要があります。

デジタルではRAWから現像、なんて言ってますが、フィルム(銀塩)写真では化学薬品を使って工場(または店舗)で処理する工程が必要になります。

フィルム(銀塩)主流時代には1日程度、早ければ数時間で現像は完了できましたが、ある時から最低1週間かかるようになったのです。

プロラボや街中の写真店がフィルムの現像から手を引きはじめ、フィルム現像は工場送りになり時間がかかるようになったのです。 

あと、微妙にフィルムや現状の料金も上がったりして、コストメリットとしてのフィルム(銀塩)写真の価値はほぼ皆無になり、フィルム(銀塩)写真やーめた、となったのです。

手持ちのカメラシステムをデジタルへ 

ハッセルブラッドを購入した時点で、既にデジタルとフィルム(銀塩)を併用してはいましたが、フィルム(銀塩)カメラ関連はサクッと売り払ってほぼデジタルへの変更資金に割り当てました。

この時に所有していたフィルム(銀塩)カメラのうち、35mm版はデジタルで流用できるレンズを除いてすべて売却しました。

中版であるペンタックスの645Nとレンズ数本も売却しましたが、35mm版より買いたたかれた感じで、フィルム(銀塩)カメラって値段つかないし、ほぼ終わった(オワコンってやつですか)なぁ、としみじみと思ったことを思い出しました。

そういうこともあって、ハッセルブラッドとはいえ、ほぼ値段などつかないだろう、そう思っていました。

のちに買い足したDistagon C50mm F4やCF150mm F4などのツァイスレンズはそこそこの値段がついたので売却しましたが、基本的なセットである80mmと本体とマガジンの一式は売却せずに(2023年7月)先日まで所有していた、というわけです。

そして、ついに売却

売却のきっかけは、冒頭で記載している通り、買取価格が予想よりかなり高額だったからです。

先に記載の通り、フィルムカメラのうち特にブローニーフィルムを使用する中版と呼ばれるカメラは、映像素子が巨大になるのでデジタル化される見込が少なく、レンズも流用できなくなることからシステムとしては終了となったものが多いです。

そういうものは、中古を扱うカメラ店にはほぼ買い取りされないのが普通なのですが、たまたま、いつも利用しているマップカメラの高額買取の中にハッセルブラッドのVシステムが含まれているのに大変驚きました。

どうせ、このご時世にあり得ない「新品同様のみ」という条件だろう、と思って確認しましたが、そのようなこともなく、状態が並品の買取価格が2008年の購入時の価格を軽く上回ってました。

ブームかなにか起きたのでしょうか(ワタシは知りませんけど、ほんとに)

そう思っていろいろ調べてはみましたが、まあ、多少レトロブームの名残もあるのでしょうけど、基本的にはもともとそれほど大きくは価格が変動していないみたいですね。

一般的な最近の物価高の傾向に合わせて価格が変動してゆくうちに、結果的に高くなっていたということなのかな、そう理解しています。

このまま持っていれば、値段がさらに上がって、なんてこともちょっとは考えました。

しかし、不思議なもので、カメラに関しては「やっぱり売るのが惜しいので持っておく」なんて考えが起きませんでした。

理由はこれまで述べたような感じで、ハッセルといえどもそれほど思い入れがないのでしょうね、ワタシにとっては。

使わないものを持っていても仕方ないし、今のうちに売ってしまおう、とアッさり売却しました。

結局はいろいろ査定が入り、多額の儲けが出るほどの値段では売れなかったのですが、買値は上回りました。

こういうところは「さすがハッセルブラッド」ということなんでしょうか。。。。

さようならハッセルブラッド。良い体験でした。
そしてカタログが残りました。
Vシステムの80ページもののカタログ。
カタログというよりは写真集といった感じでもはや作品です

カメラというモノ

デジタルカメラになってからは、新しい方が良いに決まっている、とばかりに、その時に自分の買うことのできる最新で高機能な機種を買って、使いまくって、次の新機種が出たらまた買い替える、というのが当たり前になってきた感じです。

ほとんどサブスクですね。

そう考えると、デジタル一眼を買ってからでしょうか、カメラそのものへの思い入れが希薄になり始めたのは。

フィルム(銀塩)カメラでも、一眼レフがオートフォーカスになってから、カメラ自体が単なる電化製品になってしまったので、その時点でワタシにとっては所有欲を満たせるモノではなくなったのかもしれないです。

オートフォーカスになる前の昔のフィルム(銀塩)カメラでCanon AE-1という一眼カメラがあります。
カメラとしてはかなりセールス的にヒットとなった大ベストセラーでした。

とある本によると、

「AE-1はカメラとしては世界で初めてコンピュータが積まれたエポックメーキングなカメラであるが、この時からカメラは何かを失っていった」

と記載されていました。

この文章がものすごく印象に残っています。

全くその通りになっているように思います。

だいたい、実際カッコよくないですしね、最近のカメラって。

なんか意味もなく曲面を多用したヌメッとしたデザインだったり外装がプラスチック製のものが多いし、何より壊れたら治せない(交換しか手段がない)。

もう少し所有欲が満たされるカメラが出てくればいいのですけどね。

ただ、今となっては、カメラの性能がCMOSなどの映像センサーといった電気デバイスの進化とほぼ同調しているので、やっぱり、新しければそれでいい、というだけのモノなんでしょうね。

なんかさみしいんですけどね。

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