一定の病気(脳梗塞)を患った後の運転再開のための諸手続きについて

2023年2月21日に脳梗塞を発症し入院治療ののちリハビリ(ステータスとしては継続中)を経て2023年10月時点では在宅勤務が主体ながらも職場復帰しています。

日常生活と会社勤務については、完全ではないものの入院以前の状態に徐々に戻りつつあります。
以前のような日常生活に戻してゆくにあたって、残された課題の一つとして、ちょっと面倒なものに運転免許の更新がありました。

正確には、「運転の再開」ということになるのでしょうけど、公安委員会から運転継続の許可が先日届きました。

なぜ、免許停止又は取消処分を受けたわけではないのに届け出が必要なのか、それが何に基づいているのかが、イマイチ理解できていませんでした。

そこで、具体的に手続きを進めた結果、ワタシなりに理解したことを記事として残しておこうと思います。

目次

運転再開には公安委員会への届出が必要

運転免許は運転者の条件として心身体状態が運転に支障を及ぼすようなことがなく健全であることが前提となっています。

したがって、一定の病気を患った場合は、

  •  運転時の心身状態がもともとの前提条件から逸脱しない状態である
  • そのことを公安委員会に届け出て、運転継続可能との判断を得る必要がある

ということです。

と、このようにワタシは理解していますが、ここに至るまで結構時間がかかりました。

入院中に医師及び理学療法士の方々から聞いていたのは、

「一定の病気」に該当する病気を患った場合、即刻免許の効力が消滅するわけではありませんが、実質的には(免許の)効力が無い(運転できない)状態になっていますので、運転再開には公安委員会への届出が必要です。

ということです。

「一定の病気」とは

警視庁のホームページに掲載されている、警察庁丁運発第68号(一定の病気等に係る運転免許関係事務に関する運用上の留意事項について(通達))によると、一定の病気として以下が挙げられています。

  • 統合失調症(令第33条の2の3第1項関係)
  • てんかん(令第33条の2の3第2項第1号関係)
  • 再発性の失神(令第33条の2の3第2項第2号関係)
  • 無自覚性の低血糖症(令第33条の2の3第2項第3号関係)
  • そう鬱病(令第33条の2の3第3項第1号関係)
  • 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害(令第33条の2の3第3項第2号関係)
  • その他精神障害(急性一過性精神病性障害、持続性妄想性障害等)(令第33条の2の3第3項第3号関係)
  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作等)(令第33条の2の3第3項第3号関係)
  • 認知症(法第90条第1項第1号の2及び法第103条第1項第1号の2関係)
  • アルコールの中毒者(法第90条第1項第2号及び法第103条第1項第3号)

ワタシは、「実質的には効力が無い」というところが引っ掛かってました。

言い方が悪いかもしれませんが、実質的には(効力が)無いけど、見かけ上は有る、ことになるからです。

つまり、黙っていれば(効力が)有るのと同然だと。

病気を患って入院、治療は受けていましたが、その間に警察から運転免許の停止処分を受けたわけではありませんですし。

しかしながら、問題になるのは「一定の病気」に該当する病気を患った状態で運転して事故を起こした場合です。

もし、事故を起こしてしまった場合、その事故そのものの罰則に加えて、身体状態に関して虚偽申告をしたとみなされ、罰則(1年以下の懲役又は30万円以下の罰金)が適用されます。

つまり、届け出を行っていない状態で運転すると罰則が適用されるということは、実質的には運転できない(免許の効力が無い)ということになる、そのように理解しました。

なお、身体状態の申告に関しては以前からありましたが義務ではなかったらしく、平成 25年6月に実施された道路交通法の改定では、それが義務化され虚偽の申告などの違反者への罰則も明文化されました。

また、公益社団法人 日本医師会が発行している「道路交通法に基づく一定の症状を呈する病気等にある者を診断した医師から公安委員会への任意の届出ガイドライン」によると、

道交法 101 条の 6 において「医師は、その診察を受けた者が第 103 条第 1 項第 1号、第 1 号の 2 又は第 3 号のいずれかに該当すると認めた場合において、その者が免許を受けた者(中略)であることを知ったときは、当該診察の結果を公安委員会に届け出ることができる。」とされました。

とあり、医師からも公安委員会に運転の可否に関しては届け出ができるようになりました。

こういったことからも、一定の病気を患って治療を受けた時点で、警察から免許停止処分を受けたわけではありませんが「実質的には免許の効力が無い」状態、つまり、運転できない状態になっていることになります。

そしてそれは、平成 25年6月に改正された道交法に基づいている、ということになります。

運転再開までの具体的手続き

退院後の手続きで最初に行ったことは、兵庫県神戸市在住のワタシの場合は、管轄の公安委員会(警察)に電話することでした。

兵庫県警察のwebページ、トップページ>免許・交通>運転免許>一定の病気により運転免許取消処分を受けた後に再度運転免許証を取得する手続き、に電話番号(兵庫県警察本部運転免許課)が掲載されています。

電話で説明を受けた手続きの大まかな流れは以下の通りです。

STEP
明石の免許更新センターへ出向き運転再開の相談窓口に行く
(専用の窓口があります)
STEP
運転再開相談と運転適性の機械検査を受ける
(平日午後のみ。予約がないので直接出向く必要あり)
STEP
運転再開相談の後に医師の診断書の(公安委員会向け専用)記載フォームを受け取る
STEP
医師に診断書記載を依頼
(ワタシの場合は、最も最近に外来受診した急性期病院へ依頼しました)
STEP
病院から受け取った診断書を公安委員会へ郵送
(持ち込みでも可)
STEP
公安委員会(管轄の警察署の免許関連の担当部署)から安全運転相談終了書を受領

電話相談の時にご担当の方からは、安全運転相談終了書を受領するまでは運転を控えてください、と言われました。

その「控えてください」という言い方にもちょっと引っ掛かってました(バレなければいいの?とか思いました)

運転再開相談及び適性検査

前述流れの通りに手続きを進めるため、まずは明石の免許更新センターへ出向き運転再開の相談窓口に行きました。

適性検査

更新手続きのところからちょっと離れたところに窓口があり、そこで相談と機械検査を受けました。

その窓口は、高齢者の運転に関しての相談も行ってました。

病気の発症時期、現状の状態など一通りのことを聞かれ、回答しました。

身体状態に関しては、その場で、(左右の)片足立ち、(左右の)片足ケンケン及び腕の稼働が正常かどうかの簡単な確認のみでした。

機械検査

シュミレータを使って、以下の3項目に関しての確認が行われました。

  • アクセルからブレーキへの踏みかえが所定の時間で可能かどうか(50代男性だと0.7秒平均のようで、ワタシもそのぐらいでした)
  • ハンドル操作ができるか (送りハンドル無しでの動作がシュミレータの動きとズレずに可能かどうかを見るテスト。割と簡単です。)
  • クラッチ動作ができるかどうか(主に操作ができるだけの脚力(半クラッチでキープするなど)の有無を見るだけの様子。今どきクラッチ操作ありの車に乗る機会あるのか、というのは置いといて。。。)

運転再開相談

機械検査の結果を聞きつつ、再度一通りの病気、入院、リハビリ、退院そして現状までを聞かれ、説明しました。

相談終了時に、所定の診断書のフォームを受け取り、医師に記入してもらったのち郵送で送るよう指示を受けました。

医師の診断書の記載フォーム。管轄の警察によって微妙に異なるようです。
医師の診断書の提出用封筒

なぜか診断書の提出目標が3週間後に設定され、それより遅れる場合は連絡してくださいと言われ、承諾書に署名させられました。

診断書は病院によっては2,3週間はかかり自分ではコントロールできないのにサインさせられてもなぁ、と腑に落ちないオーラ全開でサインしました。

これで運転再開相談は終了です。

なぜか提出期限が設定され、腑に落ちないオーラを出しながらサインしました。

診断書作成依頼

ワタシの場合は、最も最近に外来受診したこともあって、急性期病院へ依頼しました。

警察からもらった所定のフォームを判断基準書と共に出して依頼しました。

記載された診断書は、診断書発行時点の病状に関する医師からの意見書、という位置づけになると思います。

意見書には以下を考慮して記載されるものと思います。

  • 病気の発症から現在までの経緯
  • 脳卒中の場合、運転時に必要な判断に影響を及ぼすダメージが無いことの確認テストの結果(多くの場合病院で入院中に行います(ワタシも受けました))
  • 現時点の病状と今後の見込みを、公安委員会指定(管轄の公安委員会によって若干異なるようです)の判定基準に基づき判定

2~3週間ぐらいかかるかなと思っていたら、意外と早く3日後に病院から電話があり、電話連絡を受けた翌日に受け取りに行きました。(病院によって異なるのかもしれませんが料金は3300円でした。相変わらずこの手の書類作成はお高いですね。。。)

記載済の診断書。ほとんどマスキングしていますが、別紙の判断基準に照らし合わせると運転再開可能ということになると思います。

安全運転相談終了書の受領

運転再開が可能な状態であるかどうかの判断自体は警察(公安委員会)が行います。

公安委員会が判断するための情報は、

  • 公安委員会の実施する安全運転相談及び適正検査の結果
  • 治療を担当した医師からの診断書

の2つです。

病院に記載していただいた診断書を郵送した際に、10/30着予定だと教えていただきました。

そして11/6に公安委員会(管轄の警察署の免許関連の担当部署)から安全運転相談終了書を郵送で受領しました。

受領した安全運転相談終了書。次回の免許更新まで保管必須です。

安全運転相談終了書の受領までに要した期間

 2023/10/19  警察への電話相談(Webページでは必須になっています)
 2023/10/20    安全相談及び適性検査
 2023/10/23 病院への診断書記載の依頼
 2023/10/27 病院からの診断書受領
 2023/10/30 警察への診断書郵送(着予想日)
 2023/11/6 安全運転相談終了書を郵送受領

となり、電話での相談からおよそ20日で手続きとしては完了しました。

警察からの終了書が約1週間で最も期間を有したことになりますが、多くの場合は病院での診断書作成ではないかと思います。

そういったことも考慮すると、運転再開には概ね1か月程度はかかることになります。

まとめ

いろいろと腑に落ちない点があったりしましたが(いまだ完全にクリアになったとは言い難いですけど)、残された課題の1つは完了させることができました。

次の免許の更新時に、身体に関する申告事項に何らかのチェックが入ることになると思いますが、その際に今回受領した安全運転相談終了書を提示することで、適性検査はパスできることになるとのことです。

今回は免許書に何も記載されないようですが、何かあった場合に安全運転相談終了書の有無を問われることになるのかなと思います。

運転時にはコピーでも携行しておいた方がいいのかなと思いました。

今後について、ワタシの場合、普通自動車免許(普通自動車第一種免許)及び大型自動二輪免許が継続されることになりましたが、免許の効力として有効になったのと、実際に運転できるかどうかは別モノと考えています。

適性検査では問題無し、との判断をいただいてはいるものの、実際に乗るのはワタシ自身です。

特に問題だと思っているは自動二輪の方で、正直なところ、今すぐバイクに乗れる自信があまりありません。

現在大型自動二輪を所有してますが、ココ数年は乗る頻度が激減していたのもあり、これからどうするかもうちょと考えてみたいと思います。(暑さが一段落した今の時期はシーズンとしてはちょうどいいんですけどねー。。。)

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